研究課題
平成21年度は、消化管運動研究の小型モデル動物であるスンクスを用いて、主にorgan bathを用いたin vitroにおけるモチリンの消化管収縮機構の検討を行った。平成22年度は、モチリンによる消化管運動制御機構をより詳細に解析することを目的とした。平成22年度の成果は以下の通りである。(1)organ bathを用いたin vitro実験により、モチリンが低濃度で存在すると、モチリンのファミリーペプチドであるグレリンがsynergisticに胃収縮を刺激すること、また、胃粘膜層に損傷を与えるとグレリンの効果が消失することを明らかにした。(2)スンクスの消化管にフォーストランスデューサーを縫着し、無麻酔・無拘束下で消化管収縮運動を記録する系を用いてモチリンアンタゴニストの前投与を行うと、外因性モチリンによるphaseIII様の強収縮は惹起されなかった。また、phaseIIにおいてモチリンアンタゴニストを長時間投与した結果、phaseII収縮は持続するがphaseIIIは惹起されないことを明らかにした。(3)phaseIIにおけるグレリンアンタゴニストの投与は、phaseIIを抑制し、またphaseIIIの開始を遅延させることを明らかにした。(4)迷走神経切除を行うと、空腹期伝播性収縮運動(MMC)は起こるが、phaseII持続時間が抑制されるこを明らかにした。さらに食後期収縮は迷走神経切除によってに消失することを明らかにした。以上の結果は、MMCはモチリンとグレリンの両方の相互作用によって制御されていることを強く示唆するものである。今後は血中モチリン及びグレリン濃度との相関を検討することに加えて、脳の関与を明らかにする予定である。
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