研究課題/領域番号 |
21590787
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
渡部 健二 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (50379244)
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研究分担者 |
筒井 秀作 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (10359846)
木曽 真一 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (40335352)
吉田 雄一 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (30457014)
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キーワード | 食道炎 / 胃炎 / 肥満 / アディポネクチン |
研究概要 |
食道および胃の粘膜障害を発生させる原因として最近肥満が注目されているが、その機序に明らかでない。アデイポネクチン(APN)は脂肪組織から分泌される分子で、本研究の目的はこのAPNが食道や胃の粘膜障害に関与するかどうかを明らかにすることである。昨年度はマウス胃炎モデルを検討し、APNノックアウト(KO)マウネは野生型(WT)より胃炎の増悪を認めた。本年度は同モデルを用いてAPN KOマウスで胃炎が増強される機序を検討した。そして、食道炎発症における低APN血症の関与を臨床疫学研究で検討した。 1) APN KOマウスで胃炎が増強される機序の検討 ・ 粘膜防御の代表的分子であるプロスタグランジン(PG)を検討した。胃組織内PGE2含有量は粘膜傷害前のROとWTで違いを認めないが、胃炎を発症させたときの誘導量はKOがWTよりも低値であった。これにより、KOマウスにおける胃粘膜障害増悪の原因の一部は、PGE2誘導の障害である可能性が示唆された。 ・ ラット由来胃粘膜上皮細胞RGM-1を用いてwound healing assayを行った。培養液にAPNを添加すると、添加しないのと比べてRGM-1の遊走能が亢進した。KOマウスにおける胃粘膜障害増悪の原因の一部は、胃上皮細胞の遊走能低下である可能性が示唆された。 2) 食道炎発症におげる低APN血症の関与の検討(臨床研究) ・ 人間ドックで胃カメラおよび血中APN濃度などの検査を受けた受験者2405人を対象に解析を行った。 ・ 食道炎あり群はなし群と比べて血中APN濃度が低く、BMIが大きく、食道裂孔ヘルニアの合併が高頻度であった。 ・ ブートストラップ法を用いてBMIとヘルニアを補正すると、男性において低APN血症に依然として食道炎のリスクファクターであったが、女性においてはそうではなかった。
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