研究概要 |
食道がん放射線化学療法前後の癌部および周辺非癌部生検組織を用いたH/H-MCAMicroarray解析および、Pyrosequencing解析により「CYP26C1」遺伝子の同定に成功した。 また、通常遺伝子広範囲において高メチル化を示すLINE-1のメチル化レベルが癌部において低下することが、予後、治療抵抗性と相関する可能性から、検証セットによる解析を行った。 結果、CYP26C1遺伝子の異常メチル化は癌部において高頻度に高メチル化を示すものの、治療奏効性との相関性は認めなかった。LINE-1も同様に治療奏効性との相関を認めなかった。 しかしながら、CYP26C1,LINE-1ともに放射線化学療法前の時点で、癌部だけでなく非癌部においても高メチル化を示す症例では、有意に治療後で(癌部、非癌部とも)メチル化レベルの低下を認めていることが分かった。 このことから、組織学的には癌でなくとも、非癌部の一部に遺伝子レベルで癌化のポテンシャルを持っている部位が存在し、同部位に対する放射線化学療法は、EMRや手術治療など局所治療後の再発を予防する意味で重要な可能性が示唆された。
|