研究課題
本研究課題のメインテーマである胃伸展刺激に伴う痛みとTRPA1チャネルとの関係についての、2年間の研究の結果は、Gutに発表した。以上の結果は、急性内蔵痛の発現におけるTRPA1が重要な役割を果たしている可能性を示唆することができた。さらなる病態モデルを用いた実験を通し、TRPA1の疼痛過敏発症メカニズムにおける関与を解明することで、TRPA1が機能性胃腸症治療における新薬開発のシーズとなる可能性がある。この内蔵痛メカニズムの解明という課題の発展のため、新規内蔵痛モデルの開発として、下部消化管(直腸)の伸展刺激モデルの作成を開始した。内蔵痛の研究では世界の先端を進んでいる米国Gebhartのグループの論文を参考にして、ラット直腸内へのバルーン挿入、伸展による内臓痛モデルを作成した。疼痛行動は、ラット僧帽筋の筋電図測定にて定量化を行い、ほぼ安定的に行えるようになった。直腸内の伸展圧と筋電図の定量化できる波形に、正の相関関係が得られるようになった。本モデルを用いてTRPA1チャネル活性を抑えるために、アンチセンスオリゴやチャネル阻害剤を投与した際にどのような変化があるかを検討中である。同時に、上記でGutに報告した胃伸展刺激モデルにおけるp38の活性化と内蔵痛の関係についてのデータも検討中である。胃伸展によりDRGにおいてp38の活性化は確認出来ており、それがTRPA1チャネルを通じたものかどうかも、現在検討中である。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
Pain
巻: 153 ページ: 68-79
DOI:10.1016/j.pain.2011.09.009
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BMC Med Genet
ページ: 12-88
DOI:10.1186/1471-2350-12-88