研究概要 |
癌細胞においてはCpG部位高メチル化表現型(CIMP)を有するものが知られているが、そのCIMPを経時的にモニターするシステムを構築する目的で、大腸癌細胞株にメチル化されていないCpG部位を含むプロモーターおよび下流にレポーターをもつプラスミドを組み込んだ安定形質転換体を作製し蛍光顕微鏡にてメチル化の進行を経時的に観察することを試みた。まず、大腸癌において高頻度にメチル化されているプロモーターにはMLH1(DNAミスマッチ修復因子)遺伝子やMGMT(06-メチルグアニン-DNAメチルトランスフェラーゼ)遺伝子などがあるが、このプロモーター領域をPCRこて増幅し下流にEGFP遺伝子をレポーターとしてもつプラスミドにそれぞれ挿入し、dam-,dcm-の大腸菌で増幅した。大腸癌細胞株のうちCIMP陰性のHCT116,CIMP陰性のRKOにJump-In systemにてPhiC31標的配列にR4インテグラーゼ標的配列を挿入した細胞をハイグロマイシンにより選択し、安定形質転換体を作製した。その後、脱メチル化されたプロモーターおよびレポーターおよびR4配列を有するプラスミドをR4インテグラーゼにより挿入しネオマイシンにより選択することにより目的とする安定形質転換体を得た。22年度はこの細胞を用いて細胞全体のメチル化レベルがレポーターによって反映されるか、挿入部位による違いがあるか、新規分子標的薬による処理でメチル化表現型に影響が出るかなどを検討予定である。
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