研究概要 |
現在、発癌とエピジェネティクスの関係は注目され、DNAメチル化阻害薬やヒストン脱アセチル化酵素阻害薬などエピジェネティクスを制御することで癌を治療することが試みられている。しかし、問題はこれらの治療薬が直接にDNAやヒストンに作用する分子を標的としているため、癌に関連した遺伝子発現のみを制御するような特異性に欠けることが問題である。その問題を克服するためには、DNAメチル化やヒストンの修飾をもう少し上流で調節する機構を解明する必要がある。そのために我々はまずDNAのメチル化を生きた細胞中で視覚的にモニターするシステムを構築し、その細胞に化合物ライブラリーや、レンチウィルスsiRNA発現ライブラリーを作用させ、エピジェネティクス制御に関わる小分子や遺伝子のスクリーニングに利用することを計画した。まず、大腸癌において高頻度にメチル化されているMLH1やMGMT遺伝子のプロモーター領域をPCRにて増幅し下流に直接EGFP遺伝子あるいはTetR遺伝子およびTetオペレータ+CMVプロモーター下にEGFP遺伝子をレポーターとしてもつプラスミドにそれぞれ挿入した。大腸癌細胞株のうちHCT116,RKO,SW1417にJump-In systemにてPhiC31標的配列にR4インテグラーゼ標的配列を挿入した細胞を作製した。その後、脱メチル化されたプロモーターおよびレポーターおよびR4配列を有するプラスミドをR4インテグラーゼにより挿入し目的とする安定形質転換体を得た。これによりレポーターがメチル化されれば、EGFPが発現しなくなり、蛍光が観察されなくなるシステムとレポーターがメチル化されれば、EGFPが発現し、蛍光が観察されるシステムがともに構築されたことになる。
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