研究課題/領域番号 |
21590808
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
杉本 健 浜松医科大学, 医学部, 講師 (20529507)
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キーワード | 炎症性腸疾患 / 腸管アルカリフォスファターゼ / 粘膜防御機構 |
研究概要 |
腸管粘膜のバリア機構を増強し、炎症反応制御に深く関与している腸管アルカリフォスファターゼが炎症性腸疾患の粘膜防御機構に果たす役割を評価する。具体的にはnon-microbial-mediated gene-delivery systemを用いて、マウス実験腸炎モデルの大腸粘膜にIAPを強制発現させたり、あるいはIAPに対するshRNAベクターを使用することによりIAPを抑制させたりすることによって、IAPが腸管のバリアのintegrityを変化させ粘膜防御機構に関与すると仮説し探索を行う。平成22年度はIAP発現ベクターおよびIAP shRNAベクターの作成を行った。具体的にはIAP発現ベクター作成に関しては、まずFull length mouse IAP(alkaline phosphatase 3 : AKP3)をRT-PCRで増幅し、pCR2.1TOPO vector (Invitrogen)でクローニングした。制限酵素処理後、pIRES-hrGFPII vector (Stratagene)あるいはpSecTag2/Hygrovector (Invitrogen)でサブクローニングした。作成したベクターをCOS7細胞にtransfectionし、IAPタンパクの発現をチェックできた。IAP抑制shRNAベクター作成に関しては、BLOCK-iT RNAi Target Screening System (Invitrogen)を用いて様々なベクターを作成しIAPの発現をin vitroで抑制することに成功したが、in vivoでの発現抑制には至らず、今後の課題となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
IAP抑制shRNAベクター作成にあたって、BLOCK-iT RNAi Target Screening System (Invitrogen)を用いて様々なベクターを作成したが、効率よいサイレンシング機能をもつシークエンスを見つけるのに時間を要してしまった点と、in vitroでIAP発現の抑制に成功したベクターをin vivoに投与したが、In vivoでのgene deliveryに難渋している点のため進行が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
申請者らはこれまでにvector/cationic lipidをmicro-injectionすることにより大腸粘膜局所において目的とするタンパクを選択的に発現させることのできるnon-microbial-mediated gene-delivery systemを開発し(Sugimoto K, J Clin Invest, 2008、蛋白発現ベクターでは十分な効果がみられたことを示したが、shRNAベクターを用いた蛋白発現抑制に関してはこれまで行なえておらず、in vivoでgene silenceを行うためにはもっと効率よくgene deliveryできるsystem(例えばアデノウイルス等を用いたgene delivery system)を試してみる必要があると考えている。
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