研究概要 |
(背景と目的) FcRnによるapicalからbasolateral方向へのIgG輸送におけるAP-1Bの役割について検討をおこなった。本年度は,FcRn欠損マウス(Harvard Medical School, Richard S.Blumberg教授より分与)ならびにAP1B欠損マウス(未発表、大野博司チームリーダー、RCAI理研横浜アレルギーセンターより分与)を入手し、in vivoにおいて、IgGのapicalからbasolateral方向の輸送を検討した。生後1週目のマウスにrabbit IgGを経口投与し、経時的に小腸組織ならびに血清を採取した。投与されたrabbit IgGの小腸組織における局在を抗rabbit IgG特異的抗体を用いた免疫染色で、また、血清中のrabbit IgG濃度をrabbit IgG特異的ELISAシステムを確立し、検討した。 FcRn欠損マウスならびにAP1B欠損マウスでは、どちらも経口投与されたrabbit IgGのapical側からbasolateral側への輸送が有意に阻害されていた。ともに小腸上皮細胞レベルでの輸送障害が免疫染色にて予想され、現在、詳細な解析を行っている。 (結語)これら結果より、apicalからbasolateral方向のIgGの輸送には、FcRnとAP1Bが協調的に働いていることが示唆された。現在、これらの分子が細菌感染にどのように関わっているか検討している。
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