研究分担者 |
古賀 秀樹 九州大学, 大学病院, 助教 (00309551)
江崎 幹宏 九州大学, 大学病院, 助教 (50335957)
森山 智彦 九州大学, 大学病院, 助教 (20452758)
中村 昌太郎 九州大学, 大学病院, 助教 (10243932)
清原 裕 九州大学, 医学研究科, 教授 (80161602)
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研究概要 |
1.本年度研究計画に従って、家族性大腸腺腫症症例から同意を得て採取したDNA量を確認し、日本人で単離された疾患感受性候補遺伝子80,592の遺伝子に関してそれらの調節領域とエクソン部分に存在するSNPsの解析準備を行った.2.自験家族性大腸腺腫症91例の診断時消化管徴候,および長期経過観察中における消化管病変の推移と悪性腫瘍を遡及的に検討し、APC遺伝子型と対比した.その結果、密生型大腸腺腫症、十二指腸非乳頭部腺腫が3'側変異群に高率に発生しており、遺伝子型と臨床徴候の関係が示唆された.一方,3'側変異群で胃腺腫と残存直腸腺腫の進行例が多かった.また,大腸癌以外の悪性腫瘍として,3'側変異群で肝細胞芽腫と致死的デスモイドがみられたが,その他の悪性腫瘍は3群で有意差なくほぼ均等に発生していた.以上より、家族性大腸腺腫症において臨床徴候と腸管病変の推移はAPCの遺伝子型の影響を受けるが,本症の長期管理では遺伝子型に関係なく全身のサーベイランスが必要と考えられた.3.本症の小腸癌にリスクを明らかにするため追加検討を行った.その結果、小腸内視鏡検査を施行した87例中53例(61%)に小腸腺腫が確認された.本症における小腸腺腫は空腸に好発し散在性に認められ、経口的ダブルバルーン内視鏡が診断に有用と考えられた.小腸腺腫はAPC遺伝子エクソン15の変異例で好発する傾向がみられたが、小腸癌発生とAPC変異部位に明らかな関係は指摘できなかった
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