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2011 年度 実績報告書

腫瘍由来エクソゾーム中のマイクロRNAの機能解析と消化器癌診断への応用

研究課題

研究課題/領域番号 21590816
研究機関九州大学

研究代表者

馬場 英司  九州大学, 大学病院, 講師 (00315475)

研究分担者 赤司 浩一  九州大学, 医学研究院, 教授 (80380385)
新納 宏昭  九州大学, 大学病院, 助教 (20380636)
キーワード消化器癌 / エクソゾーム / マイクロRNA / 末梢血 / バイオマーカー
研究概要

ヒト消化管上皮細胞や血球細胞など多くの細胞から、細胞外にエクソゾームと呼ばれる小胞が放出されている。これは細胞内小器官MVB内に形成される径50-90nmの小胞であり、エネルギー依存性に細胞内や膜上の蛋白質が小胞内に積み込まれ放出されるため、産生細胞外においては近傍の細胞との相互作用を行っている。このエクソゾーム内には、核酸、特にマイクロRNAが含まれている事が明らかになったが、その生理的、病理学的意義はほとんど不明である。RNAを含むエクソゾームが他の細胞に取り込まれると、その受け手細胞中でRNAが機能を発現することが予想され、核酸の新たな水平拡散機序としても注目されている。しかし消化器癌患者においても、腫瘍細胞が放出するエクソゾームの病的意義や、その生体内での機能は知られていないことから、これらを解明して病態解明や診断方法の開発に役立てる事が、本研究の目的であった。我々はこの研究期間中に、大腸癌患者、健常人血清由来エクソゾーム中のマイクロRNAをアレイ法により比較し、患者血清エクソゾームに特異的に高発現するマイクロRNAを、1146プローブ中、19個個同定した。このうち、腫瘍組織において高発現が報告されているマイクロRNA 4個(miR-137など)について、さらに複数の患者検体の血清エクソゾーム中での高発現を確認した。これらのマイクロRNA群は大腸癌手術検体において、癌組織にのみ高発現し、正常粘膜では低いことを確認した。大腸癌細胞外に放出された、腫瘍特異的マイクロRNA含有エクソゾームは、腫瘍の微小環境を形成する様々な細胞(免疫細胞、線維芽細胞、血管内皮細胞など)に取り込まれることは、共焦点レーザー顕微鏡観察で確認し、受け手細胞内での機能発現も確認した。本研究により、ヒト大腸癌細胞は特定のマイクロRNAを含むエクソゾームを放出し、微小環境に影響を与える事が示された。また細胞内アダプター蛋白CIN85を過剰発現する細胞からのエクソゾームは、CIN85 mRNAを含み、受け手細胞内でCIN85を発現することを示した。一方、エクソゾームの産生を増加すると報告されていたSTEAP3蛋白は、腫瘍細胞においてエクソゾーム産生量に影響存与えないことも明らかになった。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)

  • [雑誌論文] CIN85 is required for Cbl-mediated regulation of antigen receptor sign aling in human B cells2012

    • 著者名/発表者名
      Niiro H, et al
    • 雑誌名

      Blood

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Human STEAP3 maintains tumor growth under hypoferric condition2011

    • 著者名/発表者名
      Isobe T, Baba E, et al
    • 雑誌名

      Experimental Cell Research

      巻: 317 ページ: 2582-2591

    • 査読あり

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公開日: 2013-06-26  

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