研究概要 |
申請者らは大腸癌細胞においてフコースの要求度が高いことに着目し、そのreceptor-mediated endocytosisを利用した抗がん剤送達法を用いることによって,大腸癌細胞を標的とした新規の抗がん療法を考案した.すなわち,陰性に荷電したL-フコースに抗癌剤等を内包化させたcationic liposome(陽性荷電)を結合させたL-Fuc-liposomeを静脈内投与することで大腸癌特異的に制癌剤を送達するフコシル化liposomeシステムの開発を行ない、全く新しいin vivo腫瘍ターゲッティング法の確立を検討した。まず、各種大腸癌樹立細胞株(Colo205、HCT-15、HT-29、Caco2、Lovo、SW1116など)において、CA19-9の産生、発現に依存してFuc-liposomeの取り込みが増加していることを確認した。また、Fuc-liposomeにCDDP,5FU、CPT-11を封入し殺細胞効果をWST-1 assayで検討したところ、CA19-9高産生腫瘍においてのみ、濃度依存性の抗腫瘍効果の増強が観察された。また、in vivoでヒト大腸癌細胞株腫瘍の担癌マウスに対しFuc-liposome-Cy5を尾静脈投与したところ、高い腫瘍集積性が確認された。さらに、Fuc-liposome-CDDPを担癌マウスに投与したところ、コントロールに比べ抗腫瘍効果が得られた。
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