研究概要 |
本研究実施計画では,5.遺伝子改変MSCの生体内動態や治療効果を検討する.6.in vitro cell fusion実験により移植後MSCの核は腸上皮分化方向にすでにreprogrammingされているか否か検討する.7.eGFP/LacZ陽性細胞のソーティングによる核型分析,核のreprogrammingを証明する予定であった.しかし,実際には,本年度の研究計画は,以下のごとく大幅に修正し施行された すなわち,腸上皮再生における骨髄間葉系幹細胞馴化培地(MSC conditioned medium ;以下MSC-CM)の効果およびその機序を明らかにし,MSC-CMに含まれるgut trophic factorを同定することを目的とし,施行された。 その結果,1)MSC-CMは、培養上皮細胞(IEC-6)におけるAktシグナルを活性化して直接腸上皮の生存・増殖に寄与することが明らかになった.2)またラットDSS腸炎に対するMSC-CM治療では,腸炎の回復が促進され,とくに低酸素条件で馴化したMSC-CM (hypoCM)では,更に腸炎回復効果が増強した.その有効性の機序として,上皮再生の促進に加え,hypoCMに豊富に含有されたVEGF,MCP-1等の生理活性物質による血管新生や抗炎症を介する総合的な作用による治療効果が考えられた これらの結果は,最適化されたMSC-CMそのものが,IBDに対する創薬の可能性を秘めている点,重要である
|