研究課題
PBCは、肝内胆管の進行性破壊と消失が特徴的な原因不明の疾患で、ウイルスもしくはウイルス関連因子の関与も推察されている。我々は次世代シーケンサーを用いて、PBC発症の原因解析を、(1)直接ウイルスgenomeをシーケンシングする方法、(2)血清内の遊離miRNAを抽出することで検討した。本年度は、特に技術的な検討を行うために、PBCとウイルス感染の関与の可能性を次世代シーケンサーを用いて検討することが技術的に可能かということについて、少数例での端索的検討を行った。(1)P8C患者での検討の前に、この手法により外来性のウイルスを同定可能かどうか、C型肝炎感染ヒト血清にて検討をおこなった。血清より遊離RNAを抽出、mRNA-seq sample prep kitを用いて、ライブラリーを作成し、Illuminaシーケンサーにてシーケンシング。(2)PBC患者の血清内遊離miRNAのプロファイリングを検討。血清よりTrizol LSを用いてTotal RNAを抽出、TruSeq small RNA sample prep kitを用いて、ライブラリーを作成し、シーケンシングを行った。研究結果(1)C型肝炎感染血清2検体の解析をおこなった。1,000万-3,000万リード/1レーン解析され、C型肝炎由来のリードは0.1%程度であった。ヒト由来ではない外来性の遺伝子断端も多数認められた。(2)PBC患者血清5検体の血清内遊離miRNAのプロファイリングを行い、B型肝炎、c型肝炎、健常者と多群比較しクラスタリングANOVA(分散分析)でP<0.05を抽出した。P-valueが計算できたものは670個あり、解析の結果得られたものは、110個のmiRNA。110個のmiRNAについて発現パターンによるクラスタリングを行い、ヒートマップを作成したところ、PBCは一つの群を形成した。考察 次世代シーケンサーはウイルス解析においても強力なツールになることが示され、新規ウイルスを同定することも可能である。PBC患者血清にて今後、解析予定することにより、疾患の新たな特徴を見い出せる可能性があり、発症原因の解明に迫ることが可能であると思われた。
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Hepatology
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