研究課題
本研究において申請者は、生体における抗ウイルス免疫応答に中心的な役割を果たしているインターフェロン(IFN)系と、C型肝炎ウイルス(HCV)感染との関わりを解明するため、独自に開発したHCV増殖・培養細胞系を用いて分子イメージング技術により、病原体侵入により惹起されるIFN産生系を抑制するHCV蛋白、NS4BおよびNS34Aの分子間相互作用の解析をすすめ、以下の結果を得た。(1)NS4B、RIG-I,Cardif蛋白発現プラスミドに蛍光蛋白Kusabira-GreenのN末端側、およびC末端側の切断蛋白を癒合した発現プラスミドを構築し、細胞内強制発現にてそれらの分子間結合をBi-molecular Fluorescent Complementation(BiFC) assayにより検出したところ、NS4Bがインターフェロン誘導アダプター蛋白であるSTINGと強固に結合し、その活性を抑制することを見いだした。種々のエピトープを欠失したNS4B発現プラスミドを用いることにより、NS4BのN末端側1-72アミノ酸が相互作用に関連した領域であることを明らかとした。(2)HCV-NS4BとCardif,RIG-Iの免疫沈降:により、NS4B蛋白がSTINGとCardifの分子間結合を阻害し、インターフェロンシグナル活性化を遮断することを明らかとした。本研究の成果を元に、HCV感染細胞におけるインターフェロン不応性のメカニズムを明らかとしてNS4Bを標的とした新たな分子標的療法樹立に向けた研究を遂行する。
1: 当初の計画以上に進展している
HCV感染細胞でインターフェロン応答シグナルを遮断するウイルス蛋白NS4BがSTINGの特定のドメインを標的とすることを世界で初めて明らかとしている。
本研究の成果を元に、HCV感染細胞におけるNS4B、SN34Aを介したインターフェロン不応性のメカニズムを明らかとし、NS4Bを標的とした新たな分子標的療法樹立に向けた研究を遂行する。すでにNS4B阻害薬による抗ウイルス効果、インターフェロンシグナル抑制効果の解析準備を進めている。
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