研究課題/領域番号 |
21590832
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
大岡 真也 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (90361691)
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研究分担者 |
坂本 直哉 東京医科歯科大学, 医歯学総合研究科, 寄附講座准教授 (10334418)
東 正新 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (10376783)
渡辺 守 東京医科歯科大学, 医歯学総合研究科, 教授 (10175127)
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キーワード | HCV-JFH1培養系 / プラークアッセイ / 小胞体ストレス / RNAポリメラーゼ |
研究概要 |
今年度本研究では、ウイルス感染価を定量する基本手技であるプラークアッセイ法をHCV感染系に応用し、細胞障害性プラーク単離の反復を行い、より増殖力・細胞障害性の強いウイルスクローンの単離とその機能解析およびウイルス遺伝子変異の解析を遂行し以下の結果を得た。(1)HCV-JFH1株をHuh-7.5.1細胞感染後に出現したプラーク6箇所より感染細胞を回収し上清を再感染させたところ、高レベルの増殖と著明な細胞死が観察された。単離されたプラーク(#1)の遺伝子解析を行ったところ、9個のアミノ酸変異を認め、そのうち5個がNS5B C末端側に集中していた。同定された5個の変異をHCV-JFH1 plasmidに個々に導入し、合成RNAを細胞にトランスフェクションしウイルス増殖粒子形成能を解析したところ、3箇所の変位クローンで親株JFH1より著明に高レベルの粒子産生が観察された。以上より、HCVの特定の遺伝子構造がウイルスの増殖・感染能を規定していることが示された。ウイルスの細胞障害効果を利用したプラークアッセイの解析より、HCV-JFH1感染細胞には細胞障害性の異なるクローンが混在している可能性が考えられた。細胞障害性クローンの遺伝子解析により同定された9個のアミノ酸変異のうち6個がRNA依存性RNAポリーメラーゼであるNS5Bに集中していたことから、遺伝子構造の変化がウイルスの増殖能及び細胞障害性に関与していると考えられた。次年度以降においては、急性重症型C型肝炎、肝移植後再発肝炎症例より新たな細胞障害性HCVを構築しHCVの細胞障害効果の解析を進める。
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