研究課題
我々は当該研究において、特定の目的分子の発現を修飾することで、肝幹・前駆細胞の移植効率に与える影響を解析し、さらに、肝幹細胞がレシピエント肝臓を置換する際に目的分子がどのような動態をとるのかを解析することで、効率的に肝幹細胞を致死的肝不全の治療に応用しようとする研究を行い、今年度の成果として下記を得た。(1)肝幹細胞を用いた細胞移植後の細胞動態の解析:研究グループは成体由来肝細胞を用いて、高度の肝キメリズムが得られる移植系を確立した。高脂血症モデルマウスに対して、野生型のマウス胎仔由来肝幹・前駆細胞を移植したところ、高脂血症が治癒し、移植した細胞がレシピエントの肝臓内で1年以上にわたって肝細胞として機能することを示した。さらに、成体マウス肝臓から分離した肝幹・前駆細胞についても検討し、移植細胞が長期間肝臓を再構築できることを示した(2011年米国肝臓病学会年次総会にて発表)。(2)肝幹細胞移植時の肝臓置換に関わる分子の解析:研究グループが確立した移植系において、いかなる分子が肝臓の再構築に関与しているかを明らかにする研究を行った。その結果、MMP2欠損マウス由来の肝細胞はMMP2野生型マウスと比較して、移植後の肝臓再構成が遅延していることを示した。(3)低侵襲前処理と肝幹細胞を用いた細胞移植系の開発及び致死的肝不全治療モデルの開発:これまでの結果に基づき、MMPを強制発現した細胞を移植すると、効率的に置換されたが低侵襲条件下では移植効率は低下した。さらにレトロルシンを用いない細胞移植系の開発に着手した。低侵襲条件下での移植は現時点では成功していないが、いくつかの条件検討を継続している。
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