1HCVコア単独発現系を用いたコア変異導入による細胞内機能変化の検討 ●コア蛋白の細胞内で持つ本来の機能、さらには70番変異がその機能をどのように修飾するのか解明するために、genotype-1b由来のHCV遺伝子が組み込まれているプラスミドをもとにHCVコア発現プラスミド、さらにsite-directed mutagenesisを用いて70番変異を導入したプラスミドを構築、ウエスタンブロットにて両コア蛋白の発現を確認した。 ●自然免疫系における抗HCVシステムには2つの経路が存在することが報告されている。すなわち細胞内におけるHCV複製を認識してインターフェロンを産生する第一の系であるRIG-Iシステム、次に細胞外に分泌されたインターフェロンを細胞表面のレセプターが認識し、多様なインターフェロン誘導遺伝子群を発現させる第2のシグナルであるJAK-STAT系である。我々は培養肝癌細胞株において上記プラスミドを用い、2つの経路における野生型と変異型コア蛋白の影響をRIG-I発現プラスミド産生下でのISRE活性、あるいはインターフェロン培地添加下でのISRE活性をアウトプットとして検討した。その結果いずれの経路においてもコア蛋白変異の有無によってISREの活性に有意な違いは認められないことを明らかとした。 2全長HCVレプリコン系を用いたコア変異導入によるウイルス複製能、葉剤感受性変化の検討 ●細胞内で自律複製するHCVレプリコンの系で、コア蛋白変異を導入し、実際にコア蛋白変異の有無によって細胞内HCV-RNA複製ウイルス増殖がどのように変化するのかを検討するため、上記と同様にsite-directed mutagenesisを用いて70番変異を導入したHCV-1b株由来のレプリコンを作成した。現在は変異によってHCV-RNA複製活性がどのように変化するのか一過性発現系と持続発現系の2系統の検討を行っているが、持続発現系における検討ではコアの点変異の導入によりHCV-RNA複製は殆ど不可能となることを明らかにしつつある。
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