1HCVレプリコン系を用いたIL28B蛋白によるウイルス複製能変化の検討 ●H21年になってペグインターフェロンとリバビリン変化効果を規定する宿主因子としてIII型インターフェロンの一つであるIL28B(インターフェロンλ3)遺伝子多型の関与が明らかとなった(Nat Genet.2009;41(10):1100-4.Nat Genet.2009;41(10):1105-9.Nature.2009;461(7262):399-401.)。興味深いことに臨床的観察からIL28B遺伝子多型とウイルス遺伝子、とくにコア蛋白の変異には顕著な相関があることを我々は明らかにしているが、一方で、実際にIL28B多型がどのようなメカニズムで治療効果に関与するのか明らかとなってはおらず、この解明が急務となっている。インターフェロンλは配列構造の類似したλ1、2、3からなるファミリーを形成するが、われわれはHCVレプリコン系を用い、H22年度においてλ1、2、3による抗ウイルス効果について検討した。その結果λ1、2、3は3種類ともインターフェロンαと同様に、HCV-RNAの細胞内増殖の抑制、あるいは細胞外における粒子の産生を抑えることを明らかとした。また特にλ3はインターフェロンαとの相乗作用を示すことを明らかとした。 2保存血清を用いた検討 ●われわれは、ペグインターフェロン・リバビリン併用療法を施行し、さまざまな経過を辿った多数症例のデータベースとこれらに対応する血清、一部の症例において宿主ゲノムを有している。このデータベースを用いてH21年度に引き続いてさらに症例数を積み重ねて詳細な検討を行ったところ、IL28B遺伝子多型とウイルス遺伝子、とくにコア蛋白の変異には顕著な相関があることを検証した。
|