研究課題/領域番号 |
21590843
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構大阪医療センター(臨床研究センター) |
研究代表者 |
石田 永 独立行政法人国立病院機構大阪医療センター(臨床研究センター), 臨床研究センター, 研究員 (00506230)
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研究分担者 |
竹原 徹郎 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (70335355)
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キーワード | C型肝炎ウイルス / BCAA / ウイルス粒子形成 |
研究概要 |
我々は昨年までの検討課題として、C型肝炎ウイルスの増殖を制御する因子について検討を行っている。今までに、増殖に関連するマイクロRNAについて報告を行い、またBCAAのHCV増殖に関わる影響について検討を行ってきた。BCAAは、HCVのレプリコン細胞においてはその増殖を抑制する。一方でHCVの感染細胞ではその増殖は逆に促進されることが明らかとなった。本年度はさらにそのメカニズムについて詳細な検討を行うこととした。用いた方法は、細胞表面にHCVの細胞内への進入に関与するCD81を持たないHuh7細胞(Huh7-25)を使ったsingle-cycle virus production assayである。Huh7-25にHCVゲノムRNAを導入し、細胞内のウイルス量と細胞から放出されたウイルス量を測定するものであるが、その際にCD81が存在しないためHCVの再感染は起こらず、HCVの粒子形成能や分泌の効率を評価することができる。この方法で検討すると、やはり細胞内のHCVのゲノムRNA増殖はBCAAの存在により抑制が認められた。しかしながら、細胞ライセート内の感染性HCVはBCAAが存在する状態では、存在しない状態と比べて大きく増加していることが分かった。また細胞内の感染性HCVと細胞外の感染性HCVを比較すると、BCAAの存在はHCVの分泌にはほとんど影響しないことが示された。すなわち、BCAAのない状態ではHCV RNAの増殖効率は増すが、その多くは感染性を持つウイルスの形成に関与できていないことを意味する。以上のことより、BCAAは感染性を持つHCV粒子形成の過程において非常に重要な役割を果たしていることが示唆された。さらにこのメカニズムの解明は、HCV増殖に携わる細胞内因子の同定にもつながり、将来的な抗HCV療法へと発展していく可能性が考えられる。上記内容について、現在論文作成中である。
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