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2009 年度 実績報告書

癌化過程におけるSTAT分子の役割-STAT相互の活性化シフトを介して

研究課題

研究課題/領域番号 21590845
研究機関大阪大学

研究代表者

法水 淳  大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (10536882)

研究分担者 竹原 徹郎  大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (70335355)
キーワードSTAT1 / 肝癌 / VEGF
研究概要

当初予定した肝特異的STAT1KOマウス作成がやや遅れたため、まず、ヒト肝癌組織におけるSTAT1の役割に関して検討を行った。胆癌患者29症例における癌部、非癌部のSTAT1活性化をWestern blotにて検討した。75%以上の症例において、非癌部に比し癌部においてSTAT1の活性化の低下を認めた。そこでこれらの29症例をSTAT1活性化著明低下群(以下S1低下群)とコントロール群に分け、腫瘍の形態、臨床像を検討したところ、S1低下群において2年以内の再発の有意な増加を認めた。また肝癌組織の詳細な検討により、S1低下群において肝癌の微小な門脈浸潤症例が有意に増加していた。この原因を検索するため癌部非癌部における転移浸潤関連分子(FGF、MMP、TIMP、VEGF等)の発現を網羅的に解析したところ、VEGFがmRNA、蛋白レベルのいずれにおいても、S1低下群においてコントロール群に比し有意に発現の上昇が認められた。これらのことから、STAT1の活性化とVEGF発現には負の相関関係の存在の可能性が示唆されたため、肝癌細胞株を使用したin vitroの系において検討を加えた。まず、IFNγ刺激によるSTAT1の活性化によりVEGFの発現の低下が認められ、これはIFNγ濃度依存性であった。更に塩化コバルトを使用した低酸素モデルにおいても、誘導されたVEGFはIFNγ刺激により発現抑制が認められ、STAT1のsiRNAを導入することによりこの発現抑制が解除された。以上よりSTAT1活性化の低下に伴い、微小門脈浸潤の増加、肝癌再発の増加が認められ、この機序としてVEGFの発現上昇が関与している可能性が示唆された。更にIFNγ-STAT1シグナル活性化がVEGFの発現レベルを抑制していることが示された。IFN投与によるSTAT1活性化は脈管浸潤の予防を介した再発抑制の一つのツールとして有効である可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] STAT3 signaling within hepatocytes is required for anemia of inflammation in vivo2010

    • 著者名/発表者名
      Sakamori R, Takehara T, et al.
    • 雑誌名

      J Gastroenterol. 45

      ページ: 244-248

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Loss of STAT5 causes liver fibrosis and cancer development through increased TGF-beta and STAT3 activation2009

    • 著者名/発表者名
      Hosui A, et al.
    • 雑誌名

      The Journal of Experimental Medicine 206

      ページ: 819-831

    • 査読あり
  • [学会発表] 肝細胞特異的STAT5欠損マウスにおける肝線維化・発癌の分子機構2009

    • 著者名/発表者名
      法水淳
    • 学会等名
      第45回日本肝臓学会総会
    • 発表場所
      神戸 (ポートピアホテル)
    • 年月日
      2009-06-04
  • [学会発表] 肝発癌過程におけるSTAT5の役割2009

    • 著者名/発表者名
      法水淳
    • 学会等名
      第95回日本消化器病学会総会
    • 発表場所
      札幌 (ロイトン札幌)
    • 年月日
      2009-05-09
  • [図書] The GI FOREFRONT2009

    • 著者名/発表者名
      法水淳, 他
    • 総ページ数
      3
    • 出版者
      メディカルレビュー社
  • [図書] 月刊 消化器科2009

    • 著者名/発表者名
      法水淳, 他
    • 総ページ数
      5
    • 出版者
      科学評論社

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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