研究課題
具体的内容:C型慢性肝炎の肝生検組織よりマイクロアレイを用いてマイクロRNA(miRNA)発現の網羅的解析を行なった。肝線維化軽度群(F1/F2)では肝線維化進行群(F3/F4)に比較して、miR-422aなどの発現が有意に低下し、miR-199a-5p/199a-3pやmiR-221/miR-222などの発現が有意に亢進し、その結果はリアルタイムPCRでも確認できた。またmiR-222の発現は2種類のマウス肝線維化モデルにおいても、肝線維化の進展とともに亢進していた。さらに初代培養マウス星細胞、ヒト不死化星細胞株においても、miR-222の発現は亢進していた。その発現はTNF-α、TGF-αなど炎症性サイトカンによって促進され、NF-κB阻害剤によって抑制された。miR-222発現はWST1アッセイで不死化星細胞株の増殖に影響を与えなかった。miR-222は標的遺伝子の一つであるCDKN1B(p27^<kip1>)の3'-UTRに結合しその蛋白発現を調節し、コラーゲン1A1の発現を誘導し、MMP-1の発現を抑制した。意義、重要性:C型慢性肝炎においてmiR-222が肝線維化の進展に関与する可能性が示された。miRNAは血中ではエキソソームで安定した状態で存在すると言われているので、血清中でのアッセイ系を確立すれば肝線維化バイオマーカーとしても利用可能かも知れない。miR-222発現は不死化星細胞株の増殖に影響を与えなかったので機序につき更なる検討は必要であるが、この研究が肝線維化の分子機構解明の一助になれば、新規治療薬の開発にも繋がることが期待される。miR-222と肝発癌との関連も示唆されており、線維化と発癌の関係を理解する上でも重要と考えられる。
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