研究概要 |
臨床的検討 C型慢性肝疾患6例(慢性肝炎4例、肝硬変2例;男性3例、女性3例;平均年齢60.8歳)についてIFN療法(IFNα単独1例、IFNα2b単独1例、Peg-IFNα2b+リバビリン4例)を施行し、治療前および治療2ヵ月後に脳各部位別(前頭葉、側頭葉、頭頂葉、後頭葉、小脳}のブドウ糖代謝率(FDP-PET)、精神神経機能検査(N-Pテスト》およびうつ志向の評価(SDSテスト;Zung Self-Rating Depression Scale)を測定した。その結果、1) 脳のブドウ糖代謝率はいずれの部位でも約13%低下を示した。2) SDSテストでは治療間平均34.5から治療後平均46.0へと悪化を認めたが、N-Pテストにおける各検査項目との関連性は明らかでなかった。現在、さらに症例数を追加して研究を継続中である。 実験的検討 IFN投与によるヒトアストロサイト増殖への影響およびその分子機構を検討し,1) 細胞増殖効果は,コントロールに比べ,IFNα2aは23鬼(p=0.004), IFNα2bは13%(p=0.126)ヒトアストロサイトの増殖を減少させた.一方,IFNβは増殖への影響が認められなかった.2) 細胞アポトーシスへの影響は,IFNα2b添加により活性型Caspase-3の大断片が検出されなかったが,細胞膜内cytochrome Cの蛋白レベルの上昇が確認された.また,IFNα2b濃度依存的に細胞のJNKリン酸化が促進された.MAPKのリン酸化は0.5UI/mlのIFNα2bにより増強されたが,より高いIFNα2b濃度がMAPKのリン酸化を逆に減少した.3) 脳内ブドウ糖摂取に関与するGlutlのタンパク発現レベルは,IFNα2b濃度依存的に低下し,一方,上流のGSK-3およびmTORのリン酸化は促進された.
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