(1)HDGFの発現抑制promoter領域の解析:Vit.K2およびインターフェロンによるHDGFpromoterの発現抑制が生じること、また転写抑制に重要な部位として-1~-150を同定した。HDGFの抑制による癌細胞増殖抑制の検討に重要である。(2)HDGFの受容体結合部位の解析:HDGF受容体蛋白を高発現する細胞を用い、HDGFとHDGF受容体との結合部位の同定を試みた。現在結合候補部位の探索を行っている。(3)HDGF受容体の肝癌における発現の解析:HDGF受容体候補蛋白の抗体を用い、ヒト肝癌組織における癌部・非癌部癌での発現を検討した。癌部での発現上昇がみられ、現在症例を増やして解析中である。(4)HDGF受容体候補蛋白のpromoter領域の解析:HDGF受容体候補蛋白のpromoter領域のクローニングを行った。Promoter部位の活性化について検討中である。(5)HDGF発現抑制による肝癌のin vivo増殖抑制と関連する遺伝子発現の変化の解析:HDGFをノックダウンした肝癌細胞を作製した。HDGFノックダウン細胞ではコントロール細胞に比してヌードマウスへの移植によるin vivoでの腫瘍形成・増大の速度が抑制された。HDGFの制御が新たな治療の開発につながることが期待される。(6)HDGFリン酸化による癌細胞の増殖能のin vivoにおける解析:HDGFリン酸化部位を変異させた変異HDGFの遺伝子を導入し、高発現する細胞を作製した。(7)肝癌患者血漿中のHDGF濃度と肝発癌および肝癌再発との関連性の解析:血漿HDGF陽性(0.3ng/ml以上)率は慢性肝炎、肝硬変、肝癌の順に高値となり、またHDGF陽性症例では肝癌局所治療後の再発率が高値であった。これらの結果から血中HDGF濃度測定は新たな腫瘍マーカーとして、肝癌の診断や治療に応用しうる可能性が明らかとなった。
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