「べにふうき」メチル化カテキンが非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を改善するか否かを検討した。生後7週目雄性C57BL/6マウスにメチオニン・コリン(M/C)欠乏飼料を摂取させNASHモデルを作製した。18週目からM/C欠乏飼料とともに、20%メチル化カテキン含有緑茶エキスを投与した群(高濃度群)、2%メチル化カテキン含有緑茶エキスを投与した群(低濃度群)、メチル化カテキン以外の緑茶カテキンを投与した群、M/C欠乏飼料のみ投与した群の4群を作製した。28週目に殺戮し、1)肝体重比の算出、2)肝組織学的評価、3)抗8-hydro-2'-deoxyguanosine(8OhdG)抗体を用いた免疫組織化学による酸化ストレスの評価、4)TNFαシグナル系の観察では抗TNF受容体(R)、Akt、リン酸化(p)Akt、NFκB、pNFκB各抗体を用いて、インスリンシグナル系では抗IRS-1、pIRS-1抗体によるWestern Blotを行った。肝体重比は4群間でほぼ同様の値を呈し有意差は見られなかった。4群間で脂肪沈着の程度には有意差は見られなかったが、炎症細胞浸潤、風船化肝細胞、Mallory-Denk body、肝細胞周囲線維化の出現頻度は他の群に比較して高濃度群で有意に低値であった。高濃度群の肝細胞内8OhdG免疫反応産物の発現は他の3群に比較して明らかに減少し酸化ストレスも抑制された。Western Blotによる検討では、高濃度群の肝臓におけるTNFR、pAkt、pNFκBの蛋白発現は他の群に比較して明らかに減少したが、pIRS-1の蛋白発現は増加していた。メチオニン・コリン(M/C)欠乏食によるNASHモデルマウスにおいてメチル化カテキンは他の緑茶カテキンより強い抗酸化作用とともに抗炎症作用を惹起し、インスリン感受性も回復させNASHを改善した。
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