研究課題/領域番号 |
21590865
|
研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
佐田 通夫 久留米大学, 医学部, 教授 (10162398)
|
研究分担者 |
川口 巧 久留米大学, 医学部, 講師 (00320177)
谷口 英太郎 久留米大学, 医学部, 助教 (50341318)
|
キーワード | 酸化型アルブミン / 還元型アルブミン / 肝細胞癌 / システイン / 酸化ストレス |
研究概要 |
肝細胞癌において、酸化ストレスによる細胞内シグナル伝達の活性化が認められており、生体内最大の抗酸化物質であるアルブミンは肝発癌に深く関与していると考えられる。アルブミンは酸化還元状態から、N末端から34番目のSH基がフリーの状態で存在する「還元型アルブミン」と、SH基にシステインやグルタチオンが結合した「酸化型アルブミン」とに分類される。昨年度、我々は、肝細胞癌の発症母地である肝硬変の病期進展とともに酸化アルブミンが有意に増加する事を明らかにした。酸化型アルブミンは体内で抗酸化作用を有する還元型アルブミンに可逆的に変化しうる事が報告されているが、その機序は明らかでない。そこで、今年度、我々は抗酸化剤(システイン)の酸化アルブミンに及ぼす影響を検討した。本研究に同意の得られた健常人(n=20)を対象とし、採取した血液を用いて以下の2種類のサンプルを作製した。(1)血液に安定化剤を混合し、37℃で24時間温置。(2)血液に安定化剤と1mmol/mLのL-システインを混合し、37℃で24時間温置。2種類の検体の還元型アルブミンの割合を、高速液体クロマトグラフィーを用いて測定した。解析の結果、システインを添加していない(1)のサンプルでは、酸化アルブミンの割合は約25%であった。一方、システインを添加した(2)のサンプルでは、還元型アルブミンの割合は100%に上昇していた。本研究により、酸化型アルブミンはシステイン添加により、還元型アルブミンに可逆的に変化しうる事が明らかとなった。
|