1.Coreアミノ酸置換がPEG-IFN/RBV/Telaprevir(TVR)併用療法の治療成績に及ぼす影響を検討した。PEG-IFN/RBV/TVRの24週間投与例を対象として治療効果に寄与する要因を多変量解析で検討した結果、Core aa70置換(Wild)がSVRに寄与するウイルス学的要因として抽出された。更に、難治な前治療無効例を対象として治療効果予測因子を検討した結果、SVRに寄与する要因としてはCore aa70置換(Wild)と前治療反応性(Partial response)、ETR(治療終了時HCV RNA陰性)に寄与する要因としてはAFP値(<10μg/l)と前治療反応性(Partial response)が抽出された。新規治療のTVR併用療法は治療効果が高い反面、副作用も強いためrisk/benefitの観点から治療前効果予測が重要である。Coreアミノ酸置換は新規治療にも有用であることが判明した。 2.PEG-IFN/BV/TVR併用療法においてCoreアミノ酸置換が脂質要因に及ぼす影響を検討した。TVR併用療法中のLDL-CはCore aa70置換(Mutant)よりもCore aa70置換(Wild)の方が高値を推移していた。更に、Non SVR例よりもSVR例の方がLDL-Cは高値を推移していた。Coreアミノ酸置換は脂質代謝を介して新規治療を含むIFN治療抵抗性に関与していることが判明した。難治例の治療成績は脂質代謝を標的とした薬剤の追加で更なる改善が期待される。 3.IFN未治療(自然経過観察)例やIFN関連療法SVR例からの肝発癌例におけるCoreアミノ酸置換の影響を検討した。多変量解析で肝発癌に寄与する要因を検討した結果、肝線維化進行度(F3-4)から独立してCore aa70・aa91置換(Mutant)が抽出された。新規治療は治療効果が高い反面、SVR後発癌例が増加する可能性がある。Coreアミノ酸置換は自然経過観察例からの肝発癌のみならず、新規治療で治癒した症例の経過観察のためにも有用である。
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