本研究の目的は、「マイクロバブルによる白血球超音波イメージングを応用し、超音波画像による早期慢性膵炎診断法の可能性を検討すること」である。膵癌の危険因子である慢性膵炎を早期から診断する事は極めて重要であるが、早期の変化を捉える事は困難とされる。慢性膵炎の線維化にマクロファージが関連していることが考えられており、慢性膵炎患者にマイクロバブルを投与し超音波で膵実質を観察することで、膵内でのマクロファージによるマイクロバブルの取り込みを画像化することができる可能性が考えられる。この過程を実証するために、今回、慢性膵炎モデルを作成して実験を行った。 1)ミニブタを用いた慢性膵炎モデルを作成:膵管開口部から外科的手術下にステントを留置して、膵液の流出を悪くする事から閉塞性膵炎を惹起させ、4週のステント留置で慢性膵炎を作成した。 2)超音波内視鏡による膵観察:慢性膵炎作成前後で超音波内視鏡を用いて膵実質を観察した。 3)超音波造影剤投与による膵観察;慢性膵炎作成前後で、超音波内視鏡を用いて、マイクロバブルを有する超音波造影剤投与による膵実質の経時的観察を行った。 4)ミニブタ膵臓を抽出して、組織学的変化について検討を行った。 平成22年度は上記をブタ1頭に対して行い、超音波造影剤投与前後での超音波画像を収集した。慢性膵炎モデルの作成は可能で、かつ、画像変化も的確に捉える事が出来た。これまでに同様の報告はなく極めて貴重な実験結果が得られた。この画像変化については今後組織像と対比させて、その意義について検証する予定である。
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