研究課題/領域番号 |
21590880
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
宮原 良二 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (50378056)
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研究分担者 |
後藤 秀実 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10215501)
廣岡 芳樹 名古屋大学, 医学部付属病院, 准教授 (50324413)
大宮 直木 名古屋大学, 医学部付属病院, 講師 (00335035)
伊藤 彰浩 名古屋大学, 医学部付属病院, 講師 (30362239)
丹羽 康正 愛知県がんセンター, 中央実験室, 研究員 (20283442)
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キーワード | 内視鏡的胃全層切除術 / 内視鏡的縫縮器具 / バーチャル内視鏡 |
研究概要 |
平成23年度は、経口内視鏡による安全な胃全層切除術を開発するために、二つの課題に取り組んだ。 第一に、胃壁を全層切開あるいは切除した際の、経口内視鏡による縫縮技術に対して、オリンパス社の協力を得て開発した新規縫縮器具の有用性を検討した。実際の臨床で汎用されている上部消化管内視鏡に装着可能な縫縮器具を試作し、実験犬を対象に生体実験を行った。昨年度まで試用していた縫縮器具の問題点を検討し、改良を重ねた結果、より安全に縫縮可能な器具を製作できた。具体的には、内視鏡の軸に対して縫縮器具の角度を一致させ、安定した視野での縫縮を可能とした。また、体外結紮法を行う際に、内視鏡を利用して強固な緊縛を行えるように、新たに結び目を送り込むノットプッシャーを開発した。改良型の縫縮器具を内視鏡先端に装着することにより、全層性に切開した胃壁の縫縮より容易に施行可能となった。実験犬を対象に12回全層切開及び切除と縫縮実験を施行し、術後に穿孔や腹膜炎などの合併症を認めなかった。今後、臨床応用に向けた検討を行う予定である。 第二に、胃壁の全層切開手技の安全性の確保のため、現在名古屋大学工学部情報科学研究室と共同研究を行っているCT画像を元にしたイミーチャル内視鏡画像技術を用いて、胃癌症例に対して施行したCT画像情報を元に、バーチャル内視鏡画像の構築に取り組んだ。実際の内視鏡画像、超音波内視鏡画像と、CT画像をもとにしたバーチャル内視鏡画像を比較し、粘膜下層以深癌の描出が可能であることを確認。また、EUS画像と一致する胃壁の断層画像の構築も可能となった。さらに、壁外のリンパ節を自動診断するコンピューター支援ソフトの開発にも取り組み、5mm以上に腫大したリンパ節の認識が可能となった。今後、この技術を発展させることにより、胃壁内から壁外に内視鏡あるいは処置具を挿入した際に、ナビゲーションシステムになり得ると期待できる。
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