ソナゾイドは粒径2.3~2.9ミクロンの気泡で、超音波信号は空気に反射するため、ソナゾイドを注入した血管は通常の血管に比べ、反射波の輝度が高くなる。その結果、血流信号が増強されるとともに、腫瘍への流入血管の特定や腫瘍全体の組織染影が可能になる。しかしながら、当施設が所有していた超音波観測装置アロカProsound α-5には組織と造影剤からの二次高調波を弁別する機能が備わっていなかったため、組織の染影を観察することができないことが判明した。一方、超音波観測装置Prosound α-10は通常のハーモニックイメージングより高感度に超音波造影剤を検出できるExtended pure harmonic detection modeを搭載しており、超音波内視鏡でも組織染影を描出できることが報告されている。そのため、平成21年4月にアロカ社より造影ハーモニックモードを搭載した超音波観測装置Prosound α-10の貸与を受け、数例にソナゾイドを用いた造影EUSを行い、正常膵や膵内腫瘍性病変に流入する造影剤の描出が確認された。本結果より、急遽Prosound α-10を購入するに至り、9月に当施設に導入された。実際の症例集積は9月16日より開始し、平成22年3月31日の時点で48例の膵疾患に対する造影超音波内視鏡検査を行った。疾患の内訳は膵癌7例、慢性膵炎・腫瘤形成性膵炎・自己免疫性膵炎9例、膵管内乳頭粘液性腫瘍12例、膵内分泌腫瘍3例、膵漿液性嚢胞腫瘍2例、膵粘液性嚢胞腫瘍1例、膵内副脾1例、その他13例であった。うち、組織学的確定診断が下されている症例はごく少数であり、データーの解析には平成22年度も引き続き症例の集積を要すると考えている。」
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