【目的】本研究は、末梢血中のRhoキナーゼ活性が、代表的な心血管病である肺高血圧症・虚血性心疾患(安定狭心症・急性冠症候群)・心不全(慢性心不全・急性心不全)の発症・進展・重症度を反映するマーカーとなり得るか否かを検討するものである。 【方法】Rhoキナーゼ活性測定方法は、まず末梢血から白血球を単離し、タンパクを抽出する。次いでWestern blotting法によりRhoキナーゼの基質であるP-MBSおよびT-MBSの発現を検討し、その比(P-MBS/T-MBS比)をRhoキナーゼ活性と定義する。我々はそのテクニック、人員を有しており、研究施設および実験設備もすでに揃っている。 本臨床研究の肺高血圧症・虚血性心疾患(安定狭心症・急性冠症候群)、心不全(慢性心不全・急性心不全)における研究を開始しており、下記の中間結果を得ている。本研究は短期的には3年で終了するが、5~10年といった長期観察も可能である。将来的にはRhoキナーゼ阻害薬が心血管病に与える影響も検討し、心血管病のマーカーとしてのRhoキナーゼ活性の意義と併せ、その臨床的意義を検討する。 【中間結果】これまでの結果では、肺高血圧症、虚血性心疾患でもRhoキナーゼ活性の亢進を認めた。また急性心不全および慢性心不全においてRhoキナーゼ活性が亢進していることを明らかにし、現在、重症度および予後との相関関係を検討している。
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