研究課題
【目的】本研究は、末梢血中のRhoキナーゼ活性が、代表的な心血管病である肺高血圧症・虚血性心疾患(安定狭心症・急性冠症候群)・心不全(慢性心不全・急性心不全)の発症・進展・重症度を反映するマーカーとなり得るか否かを検討するものである。【方法】Rhoキナーゼ活性測定方法は、まず末梢血から白血球を単離し、タンパクを抽出する。次いでWestern blotting法によりRhoキナーゼの基質であるP-MBSおよびT-MBSの発現を検討し、その比(P-MBS/T-MBS比)をRhoキナーゼ活性と定義する。我々はそのテクニック、人員を有しており、研究施設および実験設備もすでに揃っている。本研究では、肺高血圧症患者・虚血性心疾患(安定狭心症・急性冠症候群)患者・心不全(慢性心不全・急性心不全)患者における末梢血のRhoキナーゼ活性を検討した。【結果】肺高血圧症・虚血性心疾患(安定狭心症・急性冠症候群)、心不全(慢性心不全・急性心不全)という心血管病において、Rhoキナーゼ活性の亢進を認めた。また急性心不全の急性期では、1週後の安定期に比し、有意にRhoキナーゼ活性が亢進していることも明らかにした。慢性心不全においては、Rhoキナーゼ活性は様々な心血行動態の指標やBNPなどの重症度とも相関しなかった。【結語】Rhoキナーゼ活性は様々な心血管病において亢進していた。また慢性心不全においては、既存の指標と異なり、新たな心不全のマーカーとなり得る可能性が示唆された。本研究は短期的には3年で終了するが、5~10年といった長期観察も可能であり、現在長期観察を開始したところである。
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Circ J
巻: 76 ページ: 485-8
PMID:22185711
巻: 75 ページ: 2605-13
巻: 75 ページ: 2668-74
http://www.cardio.med.tohoku.ac.jp/class/research/blood02.html