研究概要 |
心不全患者の血液サンプルを用いて,既知の血中因子や治療薬の心不全との関連,および,新規心不全関連血中因子の探索を目標とた。血中P53抗体は,本来変異p53に対するもので,循環器疾患患者において,優位な変化は認められなかったが,患者末梢血由来mRNAの発現変化をみたところ,p53および関連する因子に年齢および各種危険因子と相関する変化が認められた。一方,心不全において,心不全の進展に大きく関連している,各種のアンジオテンシンII受容体拮抗薬(angiotensin II receptor blocker, ARB)を投与している患者において,各種因子と内服しているARBの種類から,ARBの作用の薬剤間の違いについて検証を行ったところ,テルミサルタンはロサルタン内服患者に比較して,動脈硬化進展のサロゲートマーカーである内頚動脈壁厚(IMT)の進展が有意に抑制されており,一方,やはり心血管疾患の予測因子である血中尿酸値は,ロサルタン内服患者で低い傾向にあることが示された。また,カンデサルタン内服患者では,家庭血圧測定において,心血管死と大きく関連する早朝高血圧が改善されていることを明らかにした。
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