研究概要 |
「研究目的」 平成21年度はカテーテルアブレーションによる肺静脈隔離治療後,心房細動(AF)の再発の有無につき,経時的に12誘導心電図,ホルター心電図および携帯型イベント心電計による2週間連続ホームモニタリング心電図を用いてAF再発率を評価した.その結果,従来の12誘導心電図,ホルター心電図では分からなかったAF発作がホームモニタリングで捉えることが可能となった.症状的には改善しているがAF再発のある症例や,症状を有しているがAF再発の無い患者もみられた.基礎心疾患のない発作性および持続性AF症例だけについて検討してみると,カテーテルアブレーション後の6ヶ月後の再発を規定する因子は,多変量解析の結果,アブレーション前の拡張期血圧および血中endothelinが有意に再発率と関係していた.この結果は論文として報告した(Heart Rhythm.2009 Jun ; 6(6) : 725-30).平成22年度はAF再発予測因子(例:拡張期血圧高値)を有する群とそうでない群で層別化してprospectiveに症例の経過を追跡し,先に示した再発予測因子が実際の症例でも当てはまっているかを臨床的に検証する予定である. 平成21年中頃より,我が国でもAFに対するカテーテルアブレーション治療は新しいデバイス(Irrigated ablation system)の導入により,従来の治療法(Non-irrigated temperature control system)に比較して,治療の有効性が明らかに向上してきた.そのため,AF再発に関与する因子について再検討が必要となってきた.新しい方法についても,基礎疾患の有無なども考慮に入れ,再評価する予定である.また,これらの成果を国内および国際学会で発表すると共に論文化する.遺伝子検索および新たなSNPに関する機能解析については平成22・23年度も引き続き行う.データ解析は研究協力者の協力を得て,報告は研究代表者あるいは分担者が行う.
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