研究課題
抗血小板薬シロスタゾールはphosphodiesterase-3 (PDE-3)阻害作用により血小板活性化を抑制する薬剤であり、閉塞性動脈硬化症(ASO)や脳梗塞の治療に用いられる。最近このシロスタゾールに再内皮化誘導作用が期待される実験成績が示された。しかしながらSES後の膓害血管における再内皮化・血管修復に対する有用性は明らかとなってはいない。本研究はシロスタゾールがSESステント植え込み後のEPCの動員、内皮細胞への分化に及ぼす影響、再内皮化誘導作用を基礎的、臨床的に検討し、DESにおけるシロスタゾール療法の有用性を検討することを目的とする。今年度は臨床的検討としてSESステント植え込み例に対し、シロスタゾール投与後の骨髄幹細胞の動員、ステント植え込み部位局所の再内皮化を評価し非投与群との間で比較検討した。方法1)投薬方法:抗血小板薬として全例PCI施行2日前よりアスピリンを10mg/日+チクロピジン2001mg/日或るいはクロピドグレルは75mg/日を投与する。シロスタゾール投与群:ステント植え込み後、上記薬剤に加えシロスタゾールを200mg/日を経口投与する。シロスタゾール非投与群:上記薬剤のみとする。2)採血:PCI前、2日後、7-14日後に採血を行い以下の項目を測定する。骨髄幹細胞・血管内皮前駆細胞(7-14日後)3)血管内視鏡:PCI半年後に行いステント植え込み部位を観察する。血管内視鏡で評価したSESステント植え込み術に対する再内皮化の程度は、対照群とシロタローズ群では、有意差はなかった。一方、末梢血中のCD34陽性細胞濃度は、シロスタゾール群で高い傾向にあったたが、対照群と比較して、有意差はなかった。以上のことから、シロスタゾールはSESによる血管内皮再生遅延を改善する明らかな効果は認められなかった。
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