研究課題
平成21年度~平成23年度にかけて、新しい心臓突然死予知法の確立に向けての心室細動の発現メカニズムに関する研究を行った。以下に、本研究から得られた研究成果の概要を記載する。平成21年(初年)度では、心室細動の発生に関与する電気生理学的指標の有用性をコンピュータシミュレーションで評価し、そのデータが動物実験で得られた心室細動中の興奮波に応用できるかをマッピング解析で検証した。結果として、心室細動の発生には再分極異常のほうが脱分極(伝導)異常に比べて関連しやすいことが示された。動物実験で得られた実際の心室細動のマッピングデータもそれを裏付ける内容であった。平成22年(中間年)度では、これまでのコンピュータシミュレーションおよび動物実験によるマッピングデータを詳細に検討し、初年度の結果を再検証した。その結果、再分極異常を反映する因子(指標)のなかでT波の交互現象(T-wave alternans)が最も心室細動の発生・維持に関与するかことが判明した。平成23年(最終年)度では、T-wave altemansのみならず、加算平均心電図によるlate potentialsやheart rate turbulenceなどの他の予知指標の有用性も臨床例で評価した。対象は、心筋梗塞後患者、拡張型心筋症患者、Brugada症候群患者、特発性心室細動患者であった。器質的心疾患患者の多くはT-wave altemans陽性であったが、非器質的病態を有する患者においては逆に陰性が多かった。このように、疾患の違いで電気生理学的指標の検出率が異なることが示された。以上の結果から、心室細動の発現(心臓突然死)を予知するには、再分極異常を反映するT-wave altemansの活用が推奨される。しかし、基礎疾愚の違いでその有用性が異なる可能性が高い。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (6件) 図書 (14件)
Circ Res
巻: 110 ページ: 275-284
Int Heart J
巻: 53 ページ: 113-116
Clin Res Cardiol
巻: 101 ページ: 89-99
10.1007/s00392-011-0368-2
Circ J
巻: 75 ページ: 80-88
J Am Coll Cardiol
巻: 58 ページ: 1309-1324
J Cardiovasc Electrophysiol
巻: 22 ページ: 1135-1140
J Electrocardiol
巻: 44 ページ: 669-672