研究課題
本研究は急性心筋梗塞において心臓リハビリテーションを含む包括的疾病管理が冠動脈プラークと血管リモデリングをどのように改善するかを明らかにするものである。2009年4月から2009年12月まで急性心筋梗塞で冠インターベンションに成功し、血管内超音波(IVUS)が施行できた39例(男性26名女性13名、平均年齢67歳±13)を登録した。そのうち通常治療群10例に6-8ヵ月後の再造影および本研究のエンドポイントであるIVUSを施行した。残り29例のうち5例が包括的疾病管理群として観察中であり、他の24例は通常治療群として再検査にむけて追跡中である。39例全体の入院時と6か月後の危険因子は、LDL-C121.2±34.2mg/dlから72.8±23.2mg/dlへ有意に低下した一方、中性脂肪は127.8±84.5から146.7±100.2mg/dlへ上昇、HDL-Cも47.5±17.5から42.0±11.3mg/dlまで低下している。しかしながら空腹時血糖は144.7±43.8から102.2±17.1mg/dlへ、HbAlc5.9±1.2から5.9±0.3%、収縮期血圧138.8±29.3から129.7±20.8mmHgなどと良好にコントロールされている。5例の包括的管理群のbaselineのPeak VO^2/kgは13.4±2.9ml/kg/min、AT/kgは8.9±1.6ml/kg/minであった。また、IVUSを再施行できた10例の所見では冠動脈プラーク体積は79.2±30.1から75.9±31.9mm^3に-4.4±11.9%退縮したが、血管体積も160.5±54.0から154.0±53.2mm^3に-4.1±6.8%縮小して、陰性リモデリングを示し、内腔体積は81.3±31.5から78.1±31.0mm^3に若干縮小した。これまでにも報告してきたようにスタチンを含む積極的内科治療でプラークは陰性リモデリングを伴って退縮することが確認された。今後包括的管理群の解析を進め、運動を含めた包括的管理がさらにプラークの退縮を起こすか、また陰性リモデリングの抑制ができ、血管体積および血管内腔の維持が可能かどうかなどを検討してゆく予定である。
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