研究概要 |
大規模ランダム化試験では、腎動脈狭窄症(RAS)に対する腎動脈インターベンション(PTRA)による腎機能の改善効果は内科治療と同等であると報告されている。 本研究の目的は、RASに対するPTRAによる腎機能改善効果の予測因子を明らかにすることである。 当施設でRASに対しPTRAを施行した23例を対象とした。 PTRA前と比較して、PTRA1年後に腎機能(推定糸球体濾過量:eGFR)が10%以上改善した群(改善群)と改善しなかった群(非改善群)の2群に分類した。両者を比較することによって、PTRAによる腎機能改善効果の予測因子を検討した。 全体ではPTRA前後でeGFRには有意な変化をみとめなかった(前:49.2±22.5ml/min/1.73m^2、後=46.9±17.2ml/min/1.73m^2,P=NS)。改善群(9例)ではPTRA前のeGFRは非改善群(14例)と比較し、有意に低く(改善群:36.5±13.7ml/min/1.73m^2 vs.非改善群:57.4±23.6ml/min/1.73m^2,P=0.03)、降圧薬の数は有意に多かった(改善群:3.3±1.2 vs.非改善群:1.9±1.1,P=0.03)。 RASで治療前のeGFRが低く、降圧薬の内服数が多い症例では、PTRA後の腎機能改善が期待できる可能性が示唆された。
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