研究課題/領域番号 |
21590921
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
蒔田 直昌 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00312356)
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研究分担者 |
関 明子 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (80408608)
住友 直方 日本大学, 医学部, 准教授 (50231379)
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キーワード | ギャップジャンクション / 致死性不整脈 / 心臓伝導障害 / 遺伝子 |
研究概要 |
我々は、進行性心臓伝導障害の1家系にコネキシン40(Cx40)の遺伝子変異Q58Lを同定した。昨年度は、Q58Lが正常(WT)の1/10という低いコンダクタンスを持つことを示した。本年度は、本家系のヘテロ変異キャリア二人が心臓突然死という重篤な転帰をとったことに着目し、Q58Lがdominant negative抑制効果を示すかどうかを電気生理学的・生化学的手法で解析した。WTとQ58Lを別々の細胞に発現させ、その細胞間のコンダクタンスを測定すると、Q58Lと同様の著明に低値だった。一方、WTとQ58Lを1:1でヘテロメリックに共発現させると、ギャップ結合発現分布と電気的特性は非常に大きなばらつきを示した。約半数の細胞ペアは明白なギャップ結合プラークとWTとQ58Lの中間のコンダクタンスを示すのに対して、残りの細胞ペアでは不明瞭なプラーク形成とQ58L単独と同様の低いコンダクタンスを示した。上流の読み取り枠が下流よりも発現量が多いバイシストロンベクターpIRESにWTとQ58L-GFPを入れ発現させると、タンパクの発現量・プラークの発現パターンとコンダクタンスは、上流にいれたCx40の影響を強く受けた。すなわち、ヘテロメリックのCx40の電気生理学的・生化学的特性は、6量体ギャップ結合内の正常・変異コネキシンの構成比率に規定される可能性が考えられた。WTとQ58Lが混在したヘテロ個体においても、ギャップ結合の生化学的・電生理学的特性には大きな不均一性が存在することが示唆され、それが重篤な心臓伝導障害のみならず、致死性不整脈の発生基盤となっている可能性が推測された。
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