私達は、虚血性心不全(ブタ慢性虚血モデルおよび重症狭心症患者)において、低出力の衝撃波を体外から虚血心筋に照射すると、血管新生が効率よく誘導されて心筋虚血が改善することを既に論文報告してきた。近年、非虚血性心不全においても、心筋細胞の容積増大による相対的な虚血が心不全発症に関与しているとの報告が相次いでいることから、非虚血性心不全においても、血管新生療法が心不全の改善をもたらすことが期待される。本研究では、上記の背景を基に、非虚血性の慢性心不全モデルを用いて、低出力体外衝撃波治療による心不全改善効果とその分子機序の解明を目的とする。 昨年度確立した非虚血性慢性心不全モデルモデル(Dah1食塩感受性高血圧ラットを用いた慢性心不全モデルモデル)において、衝撃波治療の有効性を検討した。Dah1食塩感受性高血圧ラットに8週齢から高食塩食を摂取させ、身体所見や心エコー検査により心機能が低下した慢性心不全の病態であることを確認した上で、無作為に衝撃波治療群と対照群の2群に振り分け、麻酔下に、週3回の衝撃波治療群を1~4セット行った。衝撃波治療の有効性を認める結果を得つつあり、現在、衝撃波治療の治療開始時期や治療回数を変えることにより、最適な治療プロトコールを検討している。この心不全モデル動物を用いた検討を、引き続き平成23年度も継続する。
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