私達は、虚血性心不全(ブタ慢性心筋虚血モデルおよびPCI適応やCABG適応のない重症狭心症患者)において、低出力の衝撃波を体外から虚血心筋に照射すると、血管新生が効率よく誘導されて心筋虚血が改善することを既に論文報告してきた。近年、非虚血性心不全においても、心筋細胞の容積増大による相対的な虚血が心不全発症に関与しているとの報告が相次いでいることから、非虚血性心不全においても、血管新生療法が心不全の改善をもたらすことが期待される。本研究では、上記の背景を基に、非虚血性の慢性心不全モデルを用いて、低出力体外衝撃波治療による心不全改善効果とその分子機序の解明を目的とする。 H21年度に確立した非虚血性慢性心不全モデルモデル(Dahl食塩感受性高血圧ラットを用いた慢性心不全モデルモデル)を用いて、低出力体外衝撃波治療の有効性を検討した。Dahl食塩感受性高血圧ラットに8週齢から高食塩食を摂取させ、その後16週齢から、中等量の食塩を含む食事に変更した。その後、身体所見や心エコー検査により心機能が低下始めた慢性心不全の病態であることを確認した上で、無作為に衝撃波治療群と対照群の2群に振り分け、麻酔下に、週3回の衝撃波治療群を2セット行った。低出力体外衝撃波治療により、慢性期の突然死が減少すること、心機能低下が抑制される可能性があることを確認した。有効性の機序を明らかにするための基礎的検討(組織学的検討、蛋白発現など)を継続しており、さらなる検討が必要である。
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