HOP(Homeodomain-Only Protein)は小分子心筋転写制御因子であるが、その作用機序の詳細は不明である。研究者は拡張型心筋症早発家系においてHOP遺伝子変異を発見、さらにそのヒト変異を導入した変異型HOP過剰発現マウスを作製し拡張型心筋症・重症心不全の発症を確認した。これをふまえ、本研究ではHOPの生理作用、HOP変異が心不全を惹起する機序を解明する。HOPに会合する分子Xを発見同定、HOPの動態と作用機序を解明、さらに一連の心筋細胞転写制御メカニズムを知り、HOPを軸にした新しい心不全治療への糸口をつかむ。 平成21年度には、酵母two-hybrid法によりHOP会合分子の発見・同定につとめた。 このステップが本研究で最も重要な部分であり時間、労力、経費が最もかかる部分である。数種類以上の会合分子が現在挙がっておりそれらに関して文献検索、データベース検索をおこない、優先順位をつけて解析をおこなった。特に、複数のコロニー形成をした物質、心臓の発生や収縮弛緩、カルシウム代謝、シグナル伝達に関与する物質を対象に、免疫沈降-ウェスタンブロッテイング法を用いたHOPとの直接結合確認実験に着手した。
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