研究概要 |
心臓の組織修復時に心臓外特に骨髄から動員された間質細胞の役割と、その際マトリックス分子、テネイシンCによる骨髄由来の間質細胞動態制御の可能性と分子機構を解明することを目的として、CAG-GFPマウスから骨髄細胞を分離し、そのうち間葉系幹細胞を培養増殖させた。syngenicな8週令マウスの心筋の一部に電気メスによる凝固壊死をおこした心筋傷害モデルを作成して、傷害1日後に尾静脈から注射して移植し、1,2,3,7日後に心臓を摘出し、抗GFP抗体を用いた免疫染色により骨髄由来細胞を追跡した。移植した骨髄由来幹細胞は、テネイシンCが沈着している傷害3日後には傷害心筋境界付近に分布し、組織修復にresidentialな間質細胞の他に骨髄由来の間質細胞も関与していること、テネイシンCがその動員を制御する可能性が示唆された。また、骨髄由来間葉系幹細胞は培養系でテネイシンC産生能を有すること明らかになり、組織修復のために動員される骨髄細胞の動態をautocrine的にも制御している可能性が考えられた。現在、傷害局所で産生されるテネイシンCの機能をより正確に解析するためCAG-GFPとテネイシンノックアウトマウスを交配して、テネイシン産生能がなくGFPによる追跡可能な骨髄間葉細胞を作成中である。さらに、テネイシンCによって誘導される可能性のあるhoming促進因子の同定するために野生型およびテネイシンCノックアウトマウスを用いて心筋傷害モデルを作製して組織解析をすすめるとともにRNAを抽出し、現在マイクロarrayによりテネイシンC欠損動物での分子の遺伝子発現プロファイルの変化について解析中である。
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