研究課題
本研究では、アポトーシス性刺激とネクローシスとのシグナルクロストークが存在するとの仮説に基づき、ネクローシス性心筋細胞死の細胞内情報伝達機構の解明と心不全進展への開与を明らかにすることを目的とする。野生型、シクロフィリンD(CypD)ノックアウト、Apoptosis Signal-regulating Kinase 1(ASK1)ノックアウト成獣マウスから心筋細胞を単離培養し、過酸化水素負荷によるミトコンドリア膜電位遷移(MPT)誘導を検討した。野生型マウス心筋細胞ではMPT誘導を認めるものの、CypDノックアウトマウス心筋細胞、AsK1ノックアウトマウス心筋細胞では、MPT誘導を認めなかった。すなわち、CypD依存性MPT誘導機構にASK1が関与の可能性が示唆されたが、ASK1が直接的には関与していない可能性も否定できない。そこでCypDをタイトとしてyeast two-hybrid法によりCypD結合タンパク質の検索を行い、候補タンパク質を同定しているところである。今後、候補タンパク質の発現ベクターを作製し、直接的結合の有無ならびにCypD依存性MPT誘導の可否について検討していく。ASK1がCypDと分子間相互作用に必須のASK1のミトコンドリアへの移行を確認するため、ASK1-GFP融合蛋白質を作成した。また、心筋特異的オートファジーが抑制されたAtg5ノックアウトマウスでは加齢とともに心機能が低下し心不全に至ったことから、オートファジーは細胞死ではなく、細胞機能保持に関わることを明らかにした。
すべて 2010
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Autophagy
巻: 6 ページ: 600-606