研究課題
我々は心臓の恒常性維持における内皮細胞を起点としたサイトカインネットワークの機能に着目してこれまで研究を進めてきた。我々は心臓機能維持で重要とされるneuregulin-1/ErbBシグナルが心筋細胞からのangiopoietin-1(Ang1)分泌を介して恒常性維持に貢献する可能性を以前に報告した(J.Clin.Invest. Nakaoka et al. 2007)。心筋由来のAng1分泌が果たす役割を解明するため、マウスAng1遺伝子の第1エクソンの両側にloxP siteを挿入して、Ang1^<flox>マウスを作成してAng1心筋特異的欠損マウスの作成と解析を行った。Ang1^<flox>マウスとalpha-MHC-Cre-TGマウスを交配したAng1^<flox/flox>;alpha-MHC-CreマウスはE12.5で心臓周囲での出血が見られて胎生致死を呈し、(1)心内膜と心筋層の接着不全、(2)心外膜と心筋層の接着不全状態となる表現型を呈した。以上より、心筋由来Ang1は心臓発生上必須を有し、その分子機序の解明は極めて重要と考えられる。成体での心筋特異的Ang1欠損をtamoxifen投与で誘導するために、Ang1^<flox/flox>;alpha-MHC-MerCreMerマウスを作成し、Ang1欠損誘導を8週齢よりかける解析を少数例でしたところ、心エコー上心収縮能の軽度低下が観察された。今後はさらに追試を進めるとともに、急性圧負荷・急性心筋梗塞などの病態モデルのストレス負荷条件下での血管新生や心機能などがAng1欠損によりどのような影響を受けるか検討する。
すべて 2010 2009 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)
Journal of Molecular and Cellular Cardiology (in press)
Circulation 121
ページ: 684-391
循環器内科 (in press)
Circulation Research 104
ページ: 1066-75
心臓 41
ページ: 1298-1301
http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/cardiology/27research/2781res.html