がん細胞等での蛋白分解にoncogeneTRE17が関与することが知られている。よって我々は心筋のNa+チャネル蛋白の分館に関わる酵素がTREであると考えNa+チャネル分解経路を想定した。その中でNa+チャネル蛋白のユビキチン化と脱ユビキチン化の平衡によってNa+チャネルが維持され、脱コビキチン化にはoncogeneTREI7が関与することを心筋細胞を用いて示した。すなわち、oncogeneTRE17を心筋細胞に強制発現させ、TRE17の発現量とNa+チャネルの脱ユビキチン量が相関することを示し、この経路にカルモデュリン活性が関わることを示した。次に、Na+チャネルのユビキチン化と脱ユビキチン化をNa+チャネル抗体とユビキチン抗体を用いて定量評価した。同時にパッチクランプ法でNa+チャネル電流の増減がNa+チャネルのユビキチン化量に比例することを確認した。最後に、カルモデュリン活性を細胞内Ca2+濃度とカルモデュリン阻害剤を用いて評価し、カルモデュリン活性がNa+チャネルのユビキチン化には関与せず、脱ユビキチン化に関わることを示した。以上の結果より、細胞内Ca2+過負荷等の病的条件下では、Na+チャネルのユビキチン化が進むことで分解の促進が生じるのではなく、一端ユビキチン化されたNa+チャネル平衡状態で脱ユビキチン化される過程が阻害されることで、最終的に分解速度が増してタンパク量が減少するという新規メカニズムが明らかとなった。
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