目的;アディポネクチンは脂肪細胞から分泌され、抗動脈硬化作用、抗炎症作用を持つサイトカインである。アディポネクチンが、心筋障害時に心筋内に発現するか否かを解析し、その役割を解明する。 結果;アディポネクチンが、心筋障害時に心筋内に多量に発現し、かつ発現の誘導と共に心筋肥大抑制や線維化抑制作用を示す結果を見い出した。また、肥満において食事制限が心筋内アディポネクチン発現を誘導し、心筋障害が改善した。また、肥満時の食事制限で、中枢神経、特に海馬に多く発現しているBDFNが亢進し心筋アディポネクチン発現とが正相関して増加し、脳と心臓との密接な関連を見出した。心筋アディポネクチンは、肥満治療時に、中枢の関与があり、心筋リモデリング誘導をコントロールしているメカニズムを解明できた。 将来への重要性;心不全治療薬の開発として、脂肪由来のアディポネクチンが有効であることが明らかとなった。今後薬剤としてのアディポネクチンが開発される可能性は高くなるであろう。臨床試験などで協力したい。
|