研究概要 |
本年度in vitro実験として、培養心筋細胞を用いた。オートファゴゾームの検出はLC3免疫染色、アクリジンオレンジ染色、monodansylcadaberine染色にて行いリソソームの活性化をCathepsin D発現にて確認した。さらにミトコンドリア膜電位はJC-1を蛍光指示薬として観察した。オートファジーの誘導はH_2O_2(1-100μM)、及び慢性骨髄性白血病治療薬であるチロシンキナーゼ阻害薬(イマチニブ,1-100μM)を用いた。いずれの刺激においても濃度依存的に、ミトコンドリア膜電位の低下が認められ、これに即してオートファジーが誘導された。さらにイマチニブは細胞内活性酸素種(ROS)の増加を導き、ミトコンドリアROS消去剤によりこの反応が減弱したことより、ROSの主な発生源はミトコンドリアと考えられた。蛍光指示薬Mito Tracker Redを用いてROS産生ミトコンドリアを検出し、同時にLC3抗体にてオートファゴゾームを検出したところ、colocalizeを認め、ミトファジーを発現する系であると考えられた。 さらに、in vivoにおける検討として、C57BL6マウスにイマチニブ50mg/kg/dayあるいは200mg/kg/dayを投与した。200mg投与群において5週間後心臓超音波上、収縮不全が認められ心不全を誘導し得た。イマチニブ投与後、心臓を摘出しLC3発現を検討したところイマチニブ投与群で有意な増加が認められた。さらにオートファゴゾーム形成を阻害する3methyladenineの共投与は、心筋細胞アポトーシスを増加させ、心機能の増悪を導き、オートファジー・ミトファジーは細胞保護的であることが示唆された。
|