研究概要 |
本年度in vitro実験として、培養心筋細胞を用いた。心不全時の病態進展に重要な体液性因子であるangiotensin II、 aldosterone、 endothelin、 norepinephrineや心毒性を持つイマチニブ投与により、オートファジーが誘導されることを確認した。障害ミトコンドリアの指標として用いたミトコンドリア由来活性酸素種(ROS)指示薬であるMitoSOXはangiotensin II、 aldosterone、イマチニブ投与心筋においてのみ発現増加を示した。さらにROS産生ミトコンドリアとオートファゴゾームの指標であるLC3II、リソソーム酵素であるカテプシンDのcolocalizeも確認され、ミトファジーと確認できた。ミトコンドリアROS消去剤であるButylated hydroxyl anisolはオートファジー/ミトファジー発現に影響を与えず、ROS産生はミトコンドリア障害の結果であり、オートファジー/ミトファジーの原因では無いことが見出された。一方ミトコンドリア由来アポトーシスに阻害作用を示すcyclosporin A (mitochondrial permeability trasition阻害薬)はオートファジー/ミトファジーをも抑制することを見出した。in vivo実験として、オートファジー/ミトファジーを心筋に認めることで知られる心筋梗塞モデルを用いた。イコサペントエン酸(EPA)の慢性投与は心機能を改善するとともに、ミトコンドリア呼吸能のComplex II, III, IVを改善することを見出した。さらに、ミトコンドリア品質管理に関わる因子の中で心筋梗塞モデルではfissionに関わるDrp 1には変化を来さないものの、fusionに関わるOPA1の減少を来した。EPA投与はDrp 1発現には影響せず、OPA1の減少を緩和することを見出し、ミトコンドリア品質保持効果を持つことが見出された。
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