研究概要 |
CF6過剩発現マウス摘出細小動脈によるCF6血管収縮作用の分子機序 方法:1)CF6過剰発現マウス(TG)の作製:Human elongation factor 1 promoter、分泌シグナル(Met1-Arg84)、並びにヒトCF6からなるDNA断片をC57/BL6Jマウスembryoに導入し、TGを作製した。導入遺伝子はすべての組織で発現し、1.5-2.0倍の発現亢進が認められた。2)摘出細動脈の収縮活性:TGと野生型マウス(WT)より腸間膜細小動脈(60-160μm)を採取し、内圧60cmH_2Oにて血管径を測定した。Angiotensin II (AngII)に対する収縮反応を両群で比較した。更に、c-Src阻害薬PP1(50μM)又はCF6抗体(1,000倍希釈)前投与の影響を検討した。 結果:1)摘出腸間膜細小動脈のAngII投与前の血管径は両群で差がなかった。AngII(10^<-11>-10^<-6>M)による収縮反応はTGがWTに比較して約1.5倍有意に大であった。AngIIによる収縮反応はPP1の前投与並びにCF6抗体の前投与により著明に抑制(PP1:-79±5%,CF6抗体:-85±5%)され、TGとWT間の差は消失した。非特異的IgGの前投与はAngIIによる収縮反応に影響を与えなかった。また、PP1並びにCF6抗体前投与はKClに対する収縮反応に影響を与えなかった。 結論:細動脈局所に発現したCF6はcSrcの活性化を介してAngIIの収縮反応に関与し、その作用はCF6中和抗体の前投与によりほぼ完全に抑制された。従って、細動脈局所のCF6阻害はレニン・アンジオテンシン系阻害薬と同様に、AngIIに対して拮抗的に作用する可能が示唆された。
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