研究概要 |
Coupling factor 6(CF6)の細胞内情報伝達機構とCF6抗体の阻害効果 方法:1)VSMC:高血圧自然発症ラット(SHR)と正常血圧ラット(WKY)の腸間膜動脈ならびにA7r5を使用した。2)結合アッセイ、ATPase活性、細胞内pH,Ca濃度、c-Src活性化の測定をおこなった。結果:1)Competitive displacement analysisより求めたCF6受容体のKd値はSHRがWKYに比較して小であった。2)ATPase活性は、CF6 10^<-7>M投与により上昇し、SHRがWKYに比較して大であった。3)細胞内pHはCF6 10^<-7>M投与により低下し、その低下はSHRがWKYに比較して大であった。4)c-SrcはCF6 10^<-7>M投与によりtyrosine残基がリン酸化され、その反応はSHRがWKYに比較して2倍大であった。5)A7r5細胞にCF6 10^<-7>Mを添加すると、細胞内遊離Ca濃度の上昇が認められ、nifedipine投与により完全に抑制された。Angiotensin II(AngII)10^<-7>Mによる細胞内遊離Ca濃度の上昇はCF6 10^<-7>M前投与により増強され、その程度はSHRがWKYに比較して大であった(412±26 vs 162±14nM,p<0.05)。CF6によるCa influxとAngII依存性Ca濃度上昇の増強作用はc-Src阻害薬PP1の前投与により消失した。6)これらの作用はすべてCF6C端に対す抗体で阻害された。 結論:CF6はVSMCの表面に存在するATP合成酵素のβ-subunitと結合し、ATPをADPに分解することにより、細胞内への水素イオンのinfluxを亢進させた。CF6はc-Srcの活性化を介して、Ca influx AngII依存性Ca濃度上昇の亢進作用を示した。これらの反応はSHRで亢進しており、CF6の高血圧への関与が示唆された。この作用にはCF6のC末端側が関与することが明らかとなった。
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